心配しなくてもだいじょうぶ 死ぬまで生きる!ringonomiganarukiの日記

前向きな日もそうじゃない日も、何か一つ喜びを☆

経験は宝

先日、玄関のドアを見ながら、

「あーこのドア下の方についてる足跡って、あの時父から逃げようとして、母とドアが開けられないように外から手と足で押さえてた時の跡だなぁ」と思い出した。

その日は、泥酔していたまま父が外へ出ていったので、私は「もう関わりたくない」と家を出た。深夜だったので、おじさんから「今晩4万でどう?」と声をかけられ、怖くなった。それでも行くあてもなく、結局駅の近くのビジネスホテルに泊まった。

その後母が、近所で座り込んでいたところを見つけて、連れて帰ろうとして母は殴られ、自宅から私の携帯に「怖いから帰ってきて」と言ってきた。

「いやいや、もうあなたも逃げなさい。私は〇〇ホテルにいるから」と言ったものの、「(父を)放っておけない」と言う。

「もう知るか!」とも思いながら、母が心配だったので、戻ってみたら、大荒れだった。

なので、母に「逃げよう」と連れ出そうとしたら、キレだして「どこに行く気なんか!俺を置いて!」とものすごい力で、掴まれたけれど泥酔しているので、足元がおぼつかない(苦笑)なので、振り切ってなんとか玄関を出たものの、ドアの内側から、「出ていくならここに火をつける!」と言い出し、そのうち、ドアの下から灯油が流れてきた。

…本当にやるとは…

と心の中で思いながら、「ここが底つきになるかも…」と110番通報をすることにした。

「すみません、父が泥酔し、母を殴ったあげく、玄関に灯油をまき火をつけるとさわいでますので、お願いします。早く来てください」と。

この間も、ドアを抑えるのに必死だ。

そのうちに、警察官が二人来た。心底ほっとした。助かったと。

父は「なんでもないんですよー。灯油をこぼしただけです。」とにこやかに対応した。こういうところが、アルコール依存症の恐ろしさだ。急に、的確なこういう「嘘」もつける。

母が殴られていたことがあったので、とりあえず連行され、一泊した。

 

この件があってから、少し大人しくなり、さすがに「大変なことをしてしまったのかもしれない」と思ったらしく、数日後「(アルコール依存症の専門の)病院へ行こうと思う」と言い出した。

 

しかしながら、私には結構な深い傷が残った。父を捕まえてくださいと警察を呼ばなければならなかったという出来事に対して。

父を捕まえてもらうために110番する…そんな経験しなくてもいい。というか、したくはない。でも、もし本当に火をつけたらたいへんなことになるし、隣近所にもどれほどの迷惑がかかるかわからない。「脅しだろう」とおもっていても、相手は正気ではないのだから。

警察官が来て、パトカーで連れて行かれる父を見送りながら、ふと空を見上げた。

冬空の星がきれいだった。忘れられない。寒かったのと、恐ろしかった数時間のことを思い震えた。

 

アルコール依存症の予備軍の人は多いという。

お酒を飲んで人格が豹変する人は、ほぼアルコール依存症だと思っていいという話もある。

「昼間から飲んでないから大丈夫」「飲まない日があっても、手が震えるわけじゃないから大丈夫」父はそう言っていた。

飲んでは豹変し、暴言を吐き、多くの人をその言葉で傷つけた。傷つけられる人を目の当たりにして、何もできなかった子供の私は震えているか泣くことしかできなかった。そして泣くと「泣くな」と激怒されるので、唇を噛みしめていたことを覚えている。

 

辛いことを思い出して何になるのか…。「今幸せだなぁ」と思う。

穏やかな毎日、父の心配をしなくていいことが。

「死んでくれてよかった」とは思わない。父に会いたいとか、こんな話をしたいとか、これを一緒に見て笑いたいとか、思う事は多々ある。

 

私も母も、大きな物音に敏感なのは父のせいだ。グラスや、茶碗を投げつけられたことがあるからだ。よけたら、よけたで「こしゃくな真似を!」と激怒された(苦笑)

当たったら痛いから、よけるに決まってるでしょ!(苦笑)

いまでも、陶器をぶつけて「ガチャン!」と大きな音がすると、二人でビクッとする。もう父はいないのに。

大人の男性の怒鳴り声や、大声も苦手だ。

以前、職場でおじさん同士が大声で言い合いを始めた時も、フラッシュバックで手が震えた。気が付いたら涙目で何も手につかなかった。

同僚が「大丈夫?」と言ってくれて、ふと我にかえり、トイレに避難した。

しばらく震えが止まらなかったという経験もある。

 

それでも、アルコール依存症に苦しんでいる人や、家族の気持ちが少しは解ることが、いつかどこかで誰かの役にたつのかもしれない。

辛い日々に、掲示板で支えてくれた人たちのように。

 

良いことも、悪いことも経験は宝。そう思う事にした。

そんな日々のおかげで、今の私があるのだと。

 

時々、夢で父と掴み合いの喧嘩をしたりする。

きっと、父にはむかう事のできなかった思いを夢の中ではらしているんだろうなぁ。

互角に戦ってるし(笑)

最近は、楽しげにドライブしている夢を見た。辛い思いでばかりじゃないから。

でも、毎日母との話題に上る(良い思い出も、悪い思い出も)父はしあわせなんじゃないだろうか(苦笑)

 

↓治療がはじまってからのことは、こちらに。 

ringonomiganaruki.hatenablog.com

 

 

アルコール依存症の支援の変化:「底付き」から「底上げ」へ 【医療機関や周囲の支援者が,早い段階から介入する「底上げ」の意識を持つことが必要】|Web医事新報|日本医事新報社

底つきを待つまでがしんどかった…

2018/10/19 21:08